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矢島健作が誰かに見られていると思ったのは2週間くらい前だろうか、
いやもっと前からだろうが全然気付かなかったのかもしれない。
一旦そう思ってしまうと気になってしょうがないのだが
クラスを見回しても誰も自分を見ているようには思わない。
きっと気のせいなんだと解釈することにした。
「それはさ、女子の誰かがお前に気があって草葉の陰から
お前の様子を見てるんじゃないかな」
親友の橋本和也が自分もそんな経験があると冷やかした。
コイツ、国語の表現力間違えてるくせに
案外的を得ているかもしれないと思う健作だった。
自分が見られているような感覚がある時は、
それは恐怖や危険を感じるものではなかった。
無視しようと思うと出来るのだが、気味悪くもなく
今ではその感覚に慣れてしまった。
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