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背後から視線を感じると背中の部分が少しポカポカと
暖かくなるのだ。それは決して不快なものではなかった。
「それだったら無理だな、僕には大好きな真理子ちゃんがいるから」
健作は冷たく言ったつもりだったが、
「それこそ無理だよお前、クラスのアイドル真理子がお前に惚れるわけないよ、
やめとけって、男子全員の憧れの的だし、そんな事言ったら
男子全員に攻撃されちまうぞ」
鼻で笑いながら和也が言った。
矢島健作、県立南高校の3年生、
いたって地味で真面目な生徒だった。
成績は中間くらいで体も小さく朝礼では前の方に並んでいた。
運動は苦手だし勝負するという考えがなかった。
唯一自分のために軽くジョギングすることだけが楽しみだった。
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