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「この王が皇太子の時代、灼熱の砂漠を何万の兵が水も食料もなく、行軍して敵陣を攻撃して討ち果たしたとあるんだ。尽きない水と王の双子の弟で商人のムハメド・アラン、これも想像上の人物で、もっと時代が後にも同じ名前の人物がいるのだけど、この男が当時ケータイもない中、軍隊が休息してるとことに食料を運んで軍隊に食べさせたとあるけど、時間と距離を考えると不可能な話だったんだ。時空を飛んでならわかるんだけど、まあ古代なら人は神に近かったのかもれないけど、そして、王は神だったのかもしれない」
「で、どうして欲しいのだろう?」
「水筒はくれるっていったんだよね」
「そう」
「じゃあ、指輪とパピルスをエジプトに届けたらいいんだろうけど。大使館に話を持っていくしかないなぁ。とりあえず、今日は帰るね。」
砂時計の砂が落ちるように時が経つ、過去から今日そして、未来に時を紡ぐ。
眠れない私の頭の中に物語の中の王が語る。
砂漠の風が月夜に肌を撫でる。
シタールの低い響きが密やかに流れる。
悲しい物語は、逆らえぬ運命に引き裂かれた王と王妃の物語、何万年かの夜と昼を経ても消えぬ思いを私に語る。
『わかったわ王様、届けるから、貴方のお妃さまの眠る所に、安心して、いいえ、私なんかでは不安だろうけどがんばるから』
今でもそれが何だったかわからなかったけど暗闇の私の目の中で花火のように紫色と金色のものがはじけた。
それはたとえて言えば感情のようなもののだと知ったのはずっと後の事だった。
少しまどろんだら、もう外が明るくなっていた。
書店でスキャンダラスな記事を売り物にしてる週刊誌に王のの指輪とパピルスと尽きない水の水差しの記事を目にした。
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