第一章

9/20
前へ
/106ページ
次へ
夜の帳が降りた頃、神殿で戦に出掛けた王達への無事を祈る祈りを捧げていた頃、いつもなら王妃の私が神殿に籠るときは他人が来れないようになっていたのだったけど、あの胸騒ぎのした夜、神官の交代の時間に騒ぎは起きてしまった。 私の夫である王の14番目の弟である王子一派の反乱であった。 戦争で他国にほとんど勝利した我が国の領土は倍近くになったところを留守を預かる王子一派が乗っ取るためにまず私を血祭りにあげることになったようだ。 兄弟と言えど王家では特に権力につくかつかないかでは命の保証もされかねない時代、気の弱かった14王子は回りにそそのかされて挙兵したのだった。 私は若い女官長と二人神殿にいた。 じわじわ迫る敵に、武芸の心得のある女官長は応戦してくれたけど、私を背後から倒した敵に、王妃の私を殺した罪を着せられて殺されてしまった。 薄らぐ意識のなか私は黄泉の国にまで共をしてくれる女官長を見ていた。 そして、灼熱の砂漠にいる愛しい夫との永遠の別れがこんな形になったことを悔やんだ。 私は魂になってもあなたを守る。 私の最後の意識はそう念じていた。 私の意識はずっと過去に遡っていた。 まだ少女の頃、同じ王族であった夫との出会いはある春の日であった。夫の母が第三王子を出産のとき難産が原因で亡くなったとき、まだ幼い第二王子が母を恋しがって泣き暮らしてた、たまたま王宮の庭のすみで泣いていた王子を見つけた私は王子に、     
/106ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加