風邪にはお薬を

4/4
前へ
/4ページ
次へ
「ぎゃあ!」 「うわっ」 「ゴボッ、うぇ…」 「ぐっ、はぁ」 町のあちこちから悲鳴と嗚咽、そして血の臭いが漂う。その惨状は感染したウィルスが人々を蝕んでいくようにも見えた。 「よく効くお薬、とは言ったけれど…治る薬とは一言も言っていないよ、お兄さん…」 町からの阿鼻叫喚を聞きながら少女は鼻歌を唄う。くすくすと可笑しそうに、愉快そうに嗤う。 「見知らぬ薬師からお薬を貰うときは…気を付けなきゃ」 感染する死の連鎖を一通り見ると少女は歩き出す。次の町ではなんのお薬を売ろうか? そんな事をぼんやり考えながら。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加