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「ぎゃあ!」
「うわっ」
「ゴボッ、うぇ…」
「ぐっ、はぁ」
町のあちこちから悲鳴と嗚咽、そして血の臭いが漂う。その惨状は感染したウィルスが人々を蝕んでいくようにも見えた。
「よく効くお薬、とは言ったけれど…治る薬とは一言も言っていないよ、お兄さん…」
町からの阿鼻叫喚を聞きながら少女は鼻歌を唄う。くすくすと可笑しそうに、愉快そうに嗤う。
「見知らぬ薬師からお薬を貰うときは…気を付けなきゃ」
感染する死の連鎖を一通り見ると少女は歩き出す。次の町ではなんのお薬を売ろうか?
そんな事をぼんやり考えながら。
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