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そして瞼をゆっくりと閉じると、部屋のドアがガチャリと鳴った。
椎名が来たのかと思うも、既にまどろんでいた体を動かす気にもなれず、そのまま無視する。
「…………」
だが、いつまで経っても動く気配がなかった。
不審に思った俺は、重たい体を起こしてドアの方を見るが、そこには誰もいなかった。
そして代わりに、一冊の本が置かれていた。
「…………ッ!?」
俺は飛び起きてその本を拾い上げると、一枚の紙がヒラリと宙を舞った。
「……あ、ちょ!?」
慌てて掴み、薄い字で書かれた内容を読む。
『これ、さっき話してたオススメの本。よければ読んで』
たったそれだけの文。
それでも、このときの俺はそれだけでも嬉しかった。嫌われていないということだけは分かったから。
それと同時に明日の予定が決まった。
「明日は一日読書だな」
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