第二章 平凡……それは幻想

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 そして瞼をゆっくりと閉じると、部屋のドアがガチャリと鳴った。  椎名が来たのかと思うも、既にまどろんでいた体を動かす気にもなれず、そのまま無視する。 「…………」  だが、いつまで経っても動く気配がなかった。  不審に思った俺は、重たい体を起こしてドアの方を見るが、そこには誰もいなかった。  そして代わりに、一冊の本が置かれていた。 「…………ッ!?」  俺は飛び起きてその本を拾い上げると、一枚の紙がヒラリと宙を舞った。 「……あ、ちょ!?」  慌てて掴み、薄い字で書かれた内容を読む。 『これ、さっき話してたオススメの本。よければ読んで』  たったそれだけの文。  それでも、このときの俺はそれだけでも嬉しかった。嫌われていないということだけは分かったから。  それと同時に明日の予定が決まった。 「明日は一日読書だな」
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