lesson3ー3 重なる愛

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環生の頬にそっと触れる。 「私も同じ…環生こと…一番分かる存在になりたい…何ひとつ、この手から零れ落とさずに…」 ひとりの人間の全てを理解するなんて、本当は無理なのかもしれない。 自分のことだって、不確かなのに…… でも、分かりたい。 「じゃあ、悠香のことは俺が…俺のことは悠香が理解出来たら、お互いのこと一番理解出来る存在になれるね…いいね…そんな夫婦になりたいね」 「うん!そうだね!」 そう言って微笑み合い、環生が私の身体を自分の方に引き寄せる。 「…お風呂は明日の朝にして、今日はこのまま眠ろう…」 私の身体を自分の腕の中に収める環生。 「悠香を抱きしめたまま、眠りたい…」 環生の素肌の胸に頬を寄せ、背中に腕を回し、お互いの体温が重なる。 環生のその言葉に…… 違うと分かってても、目に涙が浮かび、目の奥がツンとする。 ダメ…過敏になっちゃ…… 今はまだ…… その時じゃないんだから。 「…明日、起きたら一緒にお風呂入ろうね…」 「…うん…」 そう、ちゃんと明日は来る。 「…今日は、俺の人生で一番幸せな一日になったよ…すごく満ち足りた…ありがとう、悠香」 ぎゅうっと抱きしめられる。 「私も、幸せだよ…ありがとう、環生」 今日は、環生と想いが重なって、心も身体もひとつになれた日。 ここから、始まる。 ふたりで生きる時間を、何よりも環生を大切にする。 愛して…愛される想いを、この身に記憶する。 「おやすみ、悠香」 「おやすみなさい、環生」 この日、心と身体を通わせて、初めて…環生と抱きしめ合いながら、眠りについた。
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