lesson 1

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「あと、悠香さんの平手打ち……凄かった……俺が都築さんなら、感覚的な痛みより……心が痛くなるかも……」 そんなしみじみ言われても…… 都築くんの場合は、第一印象が最悪だったから…… 女の子に手が早いのは、有名だし…… 「でも!俺のために怒ってくれたの、嬉しかったですよ!ありがとうございます……やっぱり……遠くから見てるよりずっと……等身大の悠香さんが知れて……いいな……」 お礼の後の、夏ちゃんの呟きは、声が小さくて聞こえなかった。 書庫をある程度片して、部署に戻る途中…… 同じ部署の男性編集者が、夏ちゃんを呼び止める。 夏ちゃんを見つめる視線が熱い。 「…あの……いきなり、ごめん……ちょっと話がしたくて……時間貰えないかな?」 男性編集者が、ちらっと私に視線を向ける。 はいはい、私が邪魔なのね! 「夏ちゃん、私先に戻ってるから……戻り方…分かる?」 「…は…はい…大丈夫です」 書庫の時とは違う声質と、雰囲気…… これで中身が男だとは……簡単には分かるまい…… 見抜いた都築くん…… 流石、女好きだけある。 書庫から出る時に、 『定時までは、俺が男だということは、伏せておいてもらっていいですか?……そういう……条件なので……』 冬子さんと夏ちゃんの間に、何らかのルールがあるのだろう。 「分かったわ」 そう答えるしかない。 その場を離れた私……男性編集者と、向かい合って話している夏ちゃんを見る。 どこからどう見ても、女の子にしか見えないのに…… 身長以外は…… その後も、仕事の合間合間に、男性に呼ばれる夏ちゃん。 困った顔の夏ちゃんと、その様子を見てほくそ笑む冬子さん…… ……その顔怖いです、冬子さん…… 一体、何を調べてるんですか!? 定時になり、冬子さんがフロアにいる編集者に聞こえるように、声を上げる。 「今日は、新部署パースト始動と、新入社員の歓迎会も兼ねて、宴会を設けてるから……参加できる人は参加して!場所と時間はは……」 うちの会社御用達の、行き付けの居酒屋だ…… 「悠香、一緒に行きましょう」 冬子さんに声を掛けられる。 「はい…夏ちゃんは?」 「夏には予め場所教えてるし、後で来るわ……それに、ほら……」
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