lesson 1- 4 turn 真吾

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最初に入った部屋に向かい、着替えを済ませる。 一刻も早くここから出たい。 …入江くんから……離れたい…… 制服を丸めてバックにしまい……そこでふと……眼鏡を置いて来たことに気付くけど……取りに戻ろうとは思わなかった。 なければ困るが……スペアがない訳じゃない…… 今は…何よりも早くここからっ! 荷物をまとめ、玄関に向かおうと、その部屋のドアを開けた途端に、足元に擦り寄る、柔らかく温かい存在に視線を落とす。 ……ね…こ……? 早く出たい気持ちよりも、その小さな存在に意識を持ってかれる。 すごい……真っ白で、綺麗な猫…… 入江くんの猫…… ふと、その猫の首輪が目に留まり、猫に向かってしゃがむ。 ……これ……この模様…… 自分のバックから、一枚のハンカチを取り出す。 このハンカチは、昔幼い頃に、家を出て行った母が、置いていった服を……私がハンカチとして作った物…… 何枚か作ったうちの一枚を……下校中に……子猫に…あげた…… あの時の子猫も……真っ白な猫だった…… 「…あなた……あの時の猫ちゃんなの?」 「…ニャーン…ゴロゴロ」 肯定するかのように、鳴いて喉を鳴らしてくれる。 ……確かか……どうかは……分からない…… 猫の頭をそっと撫で、立ち上がり玄関に向かう。 その時……ある物が目に入る…… …やっぱり……そう…なんだ…… でも、それを今…入江くんに聴いても……何にもならない…… どうして……普通の再会じゃ駄目だったのっ!? 入江くんの気持ちが……ちっとも分からないよっ! 高層マンションのエレベーター……帰りも同様に、長い時間この中にいる。 考えても…考えても…… 答えなんか見えない…… やっと一階に着いて、マンションを出る。 空は今にも…雨が降り出しそうな空模様…… こんな状態で、会社になんて行けない…… どこに向かうとも知れず……ただ歩を進める。 その内、ポツポツと雨が降り始める。 この雨が……全部綺麗に洗い流してくれたら良いのに……
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