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段々雨足が強くなっていく。
そんな中を、悠長に歩いてるのは、私くらいだ。
店の軒下に雨宿りする人……コンビニで傘を入手した人……走っていく人…様々だ……
囚われたくないと思いながら、どうしても、払拭出来ない気持ちが込み上げてくる。
本心じゃなかったと、謝ってくれたのに……
どうして……
本を通じて、新しい関係を築けていけた筈なのに……それさえ……なくそうとするの!?
シコリなくすって言ったのに……思ってた通り……更に大きくなったシコリ……
彼の言葉で、男の内面と表面上が信じられなくなった……
恋することが怖くなった……
結局……そこに戻ってしまう……
好きだと言ってくれたのに……何故心はいらないの?
自分の考えに、没頭していた私……近付いた存在に気付かずに、驚く。
「やっと…見付けたっ!……何やってんだよっ!……こんなに……ずぶ濡れになって……」
横から私の手首を掴み、そう言う都築くん。
…な…んで……ここに……?
「来なっ!」
都築くんが私の手首を掴み、車道に停めてある車に向かう。
助手席のドアを開け、私をそこへ押し込み、自分は運転席へ回る。
こんなずぶ濡れなのに!
「…シート濡れちゃう!私大丈夫だから!…」
そう言って、車から出ようとした私の手を、運転席から身を乗り出した都築くんが、掴んで止める。
「…離さねぇ…シートなんかどうでもいい……それに、んな格好してる悠香さんを、外になんか出す訳ねぇだろっ!」
……そんな格好…って……?
視線を下げ、目に入ったものに……慌てて両手を組んで隠す。
…やだっ!…ブラウスが濡れてブラが、はっきりくっきり、見えてるっ!
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