lesson 1- 4 turn 真吾

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「これ、羽織って」 後部座席に手を伸ばした都築くんが、自分のジャケットを、私に手渡してくれる。 「…でも……」 「運転に集中出来ねぇ…俺が悠香さんのエッチな姿にばかり、見惚れて…事故ってもいいのか?」 …それは、困る! 都築くんのその言葉に促され、ジャケットを羽織る。 ムスクの香水が香り、それに包まれる。 車内では、お互い何も話さずにいた。 でも、やっぱり… 見慣れない景色に、不安になり… 「ねぇ…どこに向かってるの?」 そう聴くと…… 「俺の家…」 間髪入れずに、そう返された。 ふーん……都築くんの家か……え……?都築くんの……家っ!? 「俺の家がここから一番近い……雨で濡れた身体……早く温めねぇと……」 ……さらっと……そう言うけど……都築くんが言うと……どうしても違うニュアンスに聴こえてしまう。 ただ……いつもと口調が違う分で……あまり厭らしさを感じないのは、何でなんだろう…… 真剣な顔……してるから……? 車が、モダンな一軒家の車庫に停車する。 ……一軒家……? ご家族と住んでるのかな……? それならば、尚更この恰好では迷惑を掛けてしまう。 車から下りるのを躊躇してる私を、助手席のドアを開け、手首を掴み引っ張り下ろされる。 「…何してんだよっ!早く家に入るぞっ!」 「あ…ちよっ!…待っ!」 『ちょっと、待って!』そう言いたいのに、強引な程力が強くて……思うような抵抗も出来ずに、玄関まで引き摺られる。 時刻が夕方だったのと、雨のせいで…外も既に暗く、鍵を差し込み玄関を開けた都築くんは、 「ここで待ってな」 そう言って、部屋中の電気を付けながら、どこかの部屋に入る。 都築くんが戻って来るまでの、数分……きょろきょろと周りを見渡してしまう。 ……靴……都築くんのしかない…… 一軒家に……25の青年が一人暮らし? バスタオルを持って、戻って来た都築くん。 私の目の前で広げたと思うと、頭からふわりとバスタオルを掛けられ……大きい手が……髪に残る雫を拭き取っていく…… 手首を掴んだ時の、強い力ではなく……優しく手付きで…… にやける訳でもなく……真剣な眼差しで見つめられて……そんな都築くんの眼差しを……されるがまま見つめ返してた。 いつもと……違う…… 私が知る、都築くんじゃない……別の人みたい……
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