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「………何で、こっち見ねーの?」
そう言った都築くんが、私の顔を覗き込み……ばっちり目が合う。
「……顔……真っ赤……」
……だって……都築くんのその恰好がっ!目に毒なんだものっ!
思っても、そんなことは口には出せない。
都築くんの両手が、私の頬に触れ、顔を上向きにさせられる。
……は……?
上を向かされた私の顔に……じっと私を見つめる都築くんの顔が……どんどん近付いてくる。
……え……?
このシチュエーションは……もしかして……もしかしなくても……!
驚き過ぎて、固まる私は……避けることも逃げることも出来ずに、ぎゅっと瞼を閉じた。
──コツン──
軽く…額に衝撃を感じる。
「……熱…って…訳じゃねぇーな……良かった…」
……熱……?
都築くんの言動で、理解する。
顔の赤い私を心配してくれただけだと……
それなのにそれなのにっ!
私の方が、邪じゃない!
「…無防備に目瞑ったりすんなよ……」
その言葉で目を開けたが……
「…っ…!!」
未だ額がくっ付いているのだから、都築くんの顔は目の前にあるのが当然なのに……安易に目を開けてしまった己を恨む。
「…悠香さんを、好きだって言ってる男の前で……目なんか瞑るな……その可愛い顔も反則……キスしたくなるだろ……ちゃんと意識しろよ……俺のこと……」
……多分……今一番……
都築くんのこと……意識してるかも……
今まで……簡単にあしらってこれたのに……
私の額にキスを落とし、私の手を握り歩き出し、ひとつの部屋に入る。
「…そこのソファー座って…ビールでも飲むか?」
『ビール』の単語に肩が跳ねる。
「…ううん…お水で…」
自分の部屋ならば、確かにビール呑みますが……
「風呂上がりっつったら、ビールなんだろ?……あと、アタリメ?」
「…なっ!?」
何で知ってるのっ!?
「…好きな女のこと……知りたいって思うのは……当ー然!…」
ニヤリと口の端を上げて笑った都築くん……とは、正反対に、青ざめる私……
そんな私を尻目に、姿を消す都築くん。
……ひた隠しにして来たのに……何でっ!
何で都築くんが知ってるのっ!?
「…ほら」
缶を開けて、手渡してくれたビールは……
私の好きな一番〇〇〇……しかも500缶……
「……あり…が…とう……」
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