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……こ…この甘い雰囲気は駄目っ!
都築くんから、視線を外す。
それでも、頬に触れる都築くんの手の温かさを……払い除けることは出来ない……
「……欲しいって……心も?」
思わず、そんなことを聴いていた。
まだどこかで……入江くんのことが尾を引いているのかもしれない…
「…全部って、言ったろ?」
ダラダラ言葉を並べるより、とてもシンプルな答え……
「同じとは言わない……どうしたって俺のが惚れてる……でも、悠香さんにも……俺に心を向けて欲しい……他の奴じゃなくて……俺に……俺にしろよ…」
駄目だ……甘さが……増してく……
「…きょ……今日は、の…呑み明かしたい気分……かも……」
都築くんの真剣な言葉を……全然違う言葉で濁してしまった…
…だって……こんな都築くん知らないものっ!
全身が熱くなる……顔だって……きっと……赤い……
「…その顔見れたから、良しとするか……」
ふっ…と笑った都築くん。
頬に触れる手はそのままで……
「…確か……ビール以外の酒は酔うんだっけ?」
何で……手離してくれないの?
視線を都築くんに戻す。
「…うん…ワインとか日本酒とか…カクテルとかも……1杯くらいで酔うし……洋酒なんか……一口くらいで……」
「…じゃあ、その一口で酔わせてやるよ……」
グラスを傾け、茶色の液体を口に含んだ都築くんが、目に映る。
グラスをテーブルに置き、空いた手が私の後頭部に触れ、引き寄せ…頬に触れた手が顔を上に向かせたのと同時に……都築くんの唇が、私の唇を塞ぐ。
抵抗する間なんか……全然なかった……
「…んっ!」
口移しで飲まされた液体が、喉を通り抜け…身体に入り込んだ瞬間……カッと焼けるような熱さを感じる。
……これっ……めちゃくちゃ度数高いっ!
ビールはどんなに呑んだって酔わない……
でも洋酒は……普段から口にしない……美味しさも分からない……
ただ身体が熱くなるだけ……
そのまま深く唇を重ねられる。
「んんっ!…んっ…」
バーボンの味が残る舌で、絡め取られる舌……
角度を変えて何度も重なる唇に……だんだん身体の力が抜けていく……
昨日は拒否したキスを……
受け入れてる……
キスだけで……私は簡単に翻弄されてしまう……
酔っているのは……お酒のせい?
それとも……都築くんのキス?
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