lesson 1- 4 turn 真吾

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都築くんから、預かった服を手に取り、気品溢れるスタッフの女性が、私に声を掛ける。 「…え……!?」 意味が全然分からなくて、その場から動けずにいると、都築くんが私の腰に手を回し、女性スタッフの方へ誘導する。 「…行って来な…」 ちょっと、待ってよっ! そんな一言で片付けないで、ちゃんと説明してよっ! 「では、こちらへ」 声に出して反論も出来ず、渋々そのスタッフの後に続く。 「では、こちらのフィッティングルームで、お着替えをお願い致します。終わり次第声をお掛け下さい」 通されたフィッティングルーム……なんて広いのかしら…… 都築くんが、選んだ服は薄い桜色の、オフショルダーのワンピースに、丈が短めのレースのカーディガン…それに、ワンピースと同じ桜色のストール…… 着替えろと言うのだから、着替えるけど…… 生憎、お洒落に興味がない私……こういった服には、縁がない上、普段着がジャージなら、休日もジャージで過ごすのが楽なのだ…… ジャージとTシャツなら、尋常じゃない程の数を持っている。 一般の女性の感覚からは、かなりズレている……それは把握している。 だとしても……いい加減な大人なので、どんなにジャージ好きでも、TPOは弁えてる……筈…… 都築くんの意図が見えるようで、見えない。 彼は、こういう女性らしい服装を好むのかな……? ……だとしたら、彼のタイプから私は外れる…… ……別にいいけど…… 何となく……複雑な心境を抱えるが、そこから目を逸らす。 「…すみません……着替えました…」 「…まあ!とても、お似合いですよ、広瀬様!…都築様のお見立ては確かですね……では、こちらの靴をどうぞ…」 普段履くより少し高めのヒール…… 見渡す世界が、数センチ高い…… その後は、この店専属のスタイリストさんに、髪のブローやメイクをしてもらった。 鏡に映る自分……誰ですかってくらいに、驚く。 プロが手掛けると、全然違って……別人のよう……
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