2247人が本棚に入れています
本棚に追加
店を出てすぐに……
「…待って!こんな高価な服……買ってもらう訳にいかない……いくら?ちゃんと、払うから」
脚を止めてくれた都築くん……私を見ず、俯いている。
「…そんなとこもかよ……参るな……」
私に振り返った都築くん……
「…理由なら、俺とデートする為だ…好きな女にプレゼントする……何が悪い?」
……デート…する…為…?
「…だとしてもっ!限度があるでしょ?」
「…宝の持ち腐れ…」
「はあ…!?」
何故、この場面でその言葉が出て来たのか……把握出来ない。
「折角恵まれた容姿してんのに……洒落っ気ねぇーのは、勿体ないって言ってんだ……今言うつもりなかったけど、いずれ分かることだし…言っとく……あの店のオーナー……俺だから……金の心配は要らない…」
……は、い?……オーナー…?
あの……高級ブティックのっ!?
え……じゃあ、何で出版社で働いてるの……?
疑問符がたくさん、頭に浮かぶ。
「それとも!俺が悠香さんに、似合うと思って選んだ…この服が気に入らないのか?」
畳み掛けるような物言いに、慌てて首を横に振る。
「そうじゃない!…そうじゃないけど……恋人でもないのに……」
「なればいいだろ?……恋人に……何度も言ってる…俺を選べと…俺にしろって……」
都築くんが私の手首を掴み、引き寄せて、反対の手が腰に回る。
一瞬で近くなる距離……
「悠香さんが好きだ…」
愛の告白と同時に、都築くんの唇が、私の唇を塞ぐ。
「…んんっ!ン…んっ!」
…ちょっ…と……
ちょっと…待ってっ!
ここ……街中なんですけどっ!
普通に通行人の方々が、たくさんいるんですけどっ!
すごい、見世物になってる気がするっ!
他人の目を感じながら、キスなんか……集中できないっ!
どんなに力を入れて、胸を押しても……都築くんの身体はビクともしない。
腰に回ってた手が、ゆっくり上に動き始める。
カーディガンの中に入り込んで、背中の開いたワンピースのデザインの為……都築くんの手が素肌の背中を撫であげる。
「…んっ…あっ!…んっんっ!」
一瞬開いた口の隙間から、都築くんの舌が狙った様に、私の口内に入り込んで、容易く捕まり、絡められる舌……
私達の横を通り過ぎる、通行人の耳にも……この厭らしい水音が聴こえているに違いない……
最初のコメントを投稿しよう!