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出資者……?
高級店を立ち上げたなら、それ相応の額が必要……そんなお金……一般の人間なら出せない……
「……俺さ……建築業界でトップに君臨する会社の……社長の愛人の子供……なんだ……と言っても……5年前に全ての権利を放棄して……今はあの家とは何の関わりもないけどな……」
……ドラマみたいな人生模様……だと、思った……
何を言っていいか分からないし、ただ……都築くんのことを見つめてた。
「…悠香さんに、俺を知って欲しい……だから、少し長くなるけど……昔話を聴いてくれるか?」
その問いに、黙って頷いた。
「俺の母親は…今じゃ夢を叶えて、輸入雑貨店を営んでるけど、若い頃はその夢を叶えるために、夜の仕事してて、それで親父に見初められて、客とホステス以上の関係になった……でも、親父は既に結婚しててさ……元々結婚願望はなかった母親は、愛人でいいと思っていた……そのうち俺を妊娠して……ひとりで生んで育てると、子供だけは、手元におけるなら、他には何も要らないって言って……親父は親父で、本妻は子供が産めない身体だということを、結婚後に知ったものだから、初めて我が子が産まれたことに、凄く喜んだみたいなんだ……認知はしても、母親の望みを聴いてくれて、無理矢理引き離すような真似はしなかった……良く会いに来てたのを覚えてる……母親の元に居れたのは、小6までか……俺の存在を知った本妻が……俺を引き取ると言って、小切手を突き付けて……母親から、俺を奪った……どんなに母親が頼んでも、聴く耳を持たなくて……頼みの綱の親父も……愛人に子供を生ませたことを知られて強く言えない……で、母親にさ、自分の夢を叶えろって……背中押した……どこにいたって、産んでくれて、そこまで育ててくれたのは、母親ひとりだけだから……本妻が母親の代わりになんて、なれるはずないから……それで中学から、望月 真吾として本家で暮らし始めた。
跡取りなんだから、英才教育だの何だの……固っ苦しい真似ばかりさせられて……でも、本妻は優しかったよ……普通は憎しみを抱くだろうに……でも、その優しさには、裏があった……俺の外見て親父似でさ……義母は……俺のこと男として見てたんだよな……」
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