lesson3ー3 重なる愛

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荒い呼吸の環生が、肩で息をしながら、私に覆い被さるように、私を抱きしめる。 行為後の、汗でしっとり濡れるお互いの身体を、きつく抱きしめ合う。 今も未だ、私の中に…環生がいる。 身体を繋げたのは2度目だけど、心ごと……自分が想い寄せる相手と、初めて…愛し合えた。 この瞬間を…… 今胸に広がるこの想いを…… 私は忘れない。 耳に掛かる環生の呼吸も…… この身に感じる、環生の重みも…… 環生が、私の手の届かない存在になっても…… 絶対に忘れない…… そして、これからの一分一秒を大切にして…… もっと、心も身体も……その全てを、私に刻み付ける。 呼吸が未だ、整わない環生。 大きく肩を揺らしてる。 「…身体…大丈夫?」 環生の方へ顔を向ける。 「…はあ、はあ…それ、…どちらかと言うと…はあ…俺の台詞…じゃない?」 途切れ途切れにそう言うが、環生の目が笑ってる。 そ…そういうもの…なの? でも、環生の呼吸が辛そうに見えるのは、きっと…気のせいじゃない。 「…ふー…もう、大丈夫…悠香こそ、大丈夫?」 「…平気…すごく…満たされましたから」 『気持ち良かった』とは、何だか恥ずかしくて、言えない。 「そっか、良かった…俺も、すごく満たされた…心も、身体も…」 頬に環生のキスが落ちる。 「…ずっと…悠香の中にいたいけど、そういう訳にもいかないから、抜くね」 腕を立てて、身体を起こした環生。 環生のものが、私の中から抜かれる瞬間… 自分の一部が無くなるような、喪失感を感じてしまうのに、敏感になった身体は、それだけでも感じてしまう。 「…んッ…ぁ…」 上から環生の視線を感じる。 「…可愛い…これだけでも、感じちゃった?」 そうさせたのは、誰でもなく…環生だ。 「…気付かない振り…してくれたらいいのに…」 「可愛いから、無理!」 そんな笑顔で言わなくても…… ゴムを取り、ゴミ箱に捨てた環生が、タオルケットに手を伸ばす。ふたりの身体に掛かるように、引っ張り上げる。 私の横に寝転がり、右手を私の頭の下に入れ、その手が私の肩を抱く。 「…悠香のことは、何ひとつ、どんな小さなことも見逃したくないんだ…一番近くで、一番悠香を理解出来る存在になりたい」
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