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…ん……あったかい…
触れている温もりが、心地いいのに、隙間を感じて寂しくて、その温もりにぎゅーっとしがみついた。
…行かないで……
瞼に優しく落ちた温もりに、ゆっくり目を開ける。
「…おはよう、悠香」
至近距離に環生の顔があり、優しい眼差しの環生と、見つめ合う。
「…お…おはよう…環生…」
そう…だった…
私…昨夜環生と……
「…いいね、その顔…可愛い」
その顔って、どの顔のこと?
「かっ…可愛くなんてっ!」
「可愛いよ…昨日の、俺とのセックスのこと思い出したんでしょ?思い出して、頬を朱に染めてる…可愛い以外の何ものでもないよ」
行為中はスタンドライトの光で、薄明かりの中だったけど……
今は、陽の光が窓から射し込んで、部屋を明るくしている。
エッチしてる時や、その後は余韻で……恥ずかしさなんかぶっ飛んでたのに、今…お互い一糸纏わぬ姿が…とてつもなく恥ずかしい…
「…ところで、何時に出勤するの?」
ここからなら、車で行った方が早く着く。
ギリギリまで、環生の傍に居たい。
「8時半で、充分間に合うと思う」
「そっか、じゃあ余裕持って早めに動こうか?」
そう言って起き上がる環生の、綺麗な背中や、無駄のない滑らかな上半身に目を奪われる。
「…ダメだよ…そんな顔して見ちゃ…誘惑に負けそうになる」
ゆ…誘惑っ!?
「朝から…したくなる」
自分が、どんな顔で環生を見ていたのかは分からない。
ただ……見惚れていたのは、確かだ。
「だ…ダメです…」
出勤前にそんなこと……
しかも、若干声が掠れてるし。
「…ですよねぇ…(生理現象が起きてる上に、悠香の裸が更に追い打ちを掛けてるんだよな)じゃあ、起きよっか」
タオルケットを、胸まで引き上げて起きあがる。
「隠さなくても……もう全部見たよ?まぁ…その初々しさが、男心を唆るんだけどね…よいっしょ」
こんな明るい所で、惜しげも無く裸体を晒すなんて、私には無理っ!
…というか…
「な、何でっまた抱き抱えるのっ!?」
タオルケットにくるまった私を、抱え上げた環の、その行動に驚く。
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