lesson3ー4 全てを掛けて

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20年以上振りに、母と……こんなに真っ直ぐお互いの顔を見た。 存在を分かっていても、こんなにちゃんと顔を見たのは、本当に……久し振りだ。 「…私には…悠香の決心を、止める権利はないわ……それに、後悔を残したくないのでしょう?」 母の言葉に頷く。 「それなら、悠香の思う通りに、進むしかない……覚悟を決めているのなら、その通りに……悠香の、母親としては失格の私でも、我が子には幸せになって欲しいと思う……それが一番なの……悠香……これ…」 母が私に、一枚のメモ紙を渡してくれる。 「…何かあったら、力になる……出来ることは少ないかもしれないけど…迷ったり、辛かったり……心が苦しい時…誰かに吐き出したくなったら……」 そのメモ紙には、携帯番号が書かれていた。 「…ありがとう…お母さん」 「勿論、嬉しいニュースでも、何でも良い……悠香が誰かに何かを聴いて欲しいって思った時に、連絡して?」 20年以上離れていても、10年近く……ずっと見ていてくれた。 一緒に暮らせなくても、母親の愛情を、ちゃんと注いでいてくれたと思ってる。 「…うん、何にも無くても、連絡してもいい?」 「勿論よ」 「それから、今度……彼に会って欲しい…」 母に環生を紹介したい。 環生にも、母に会って欲しい。 「…会わせて、くれるの?」 「だって、私のお母さんだもの」 この人以外、母と思う人は私にはいない。 私の命を育み、この世へ誕生させてくれたのは、この母だけ。 「…楽しみに、待ってるわ」 涙ぐむ母がそう言った。 これから…… 空いた時間が埋まるといいと思う。 時間が戻らなくても…… ここから……
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