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「…そう…ね…夏の言う通りね…」
夏くんの言葉に、冬子さんが相槌を打つ。
「冬子さんっ!」
その冬子さんを止めるように、声を荒らげる都築くん。
「…悠香さんがTAMAKI先生と一緒に居る為の時間が必要なら、休職という形でもいい筈だっ!……こんなこと、悠香さんがいる前で言うのは酷だが、先生がいなくなった後は?悠香さんが一人になった時に、戻れる場所があった方がいい!」
私が一人になった時…か……
必ず訪れるであろう、近い未来……
だけど、そんなことは……
「…今は、その時のことを考えたくないの……今必要なことは、彼の傍にいる為に、進むこと……都築くんが、私のことを考えて言ってくれてるのも、分かる……けど、まだ彼は生きてる…生きようとしてくれてる…彼の支えになりたい…ただ…傍にいたい」
「…分かったわ…悠香の退職を受理する…悠香の思いを尊重する…真吾も、それ以上悠香に何を言っても、悠香の意志は堅い…ここでおさめて」
「…分かり、ました」
私の言葉を聴き終えた冬子さんが、そう言ってくれた。
都築くんは、冬子さんの言葉に、渋々頷いてくれた。
「…ありがとうございます!」
「…手放しで喜ぶのは、まだ早いかもよ?……夏の言う通り、違う形で私に協力してもらうから!」
「…え…!?」
……一癖も二癖もあるこの冬子さんが、考えてる事は……けして生優しくはないと、思う……が、それを私が拒否することは、まず出来ないだろう。
一体……何をさせるつもりですかっ!?
「悠香…パースト部専門のライターになりなさい」
パースト部専門のライター?
冬子さんの口から飛び出した言葉を、復唱しても…全く意味が分からない。
ライターの仕事は理解してるが、パースト部専門て……
「そうね……手始めに、前企画したセクシーランジェリーに、ライターとして参加して貰おうかしら……相手も居ることだし?男性編集者が、彼女に着て欲しいセクシーランジェリーBEST3について……いい記事期待してるわ!」
セクシーランジェリーの、何を文章で表せとっ!?
「難しく考えなくていいし、悠香には強い味方がいるでしょう?ああっ!何か楽しくなって来たわぁ!」
さっきまでの、シリアスな冬子さんは何処へ…… ?
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