lesson 1

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「夏…素で話してたわね……悠香気付いたの?鈍感な悠香が気付くなんて、珍しい」 ……そうですね…… 私はどーせ、鈍感ですよっ! 気付いたというより、アクシデントのせいで、気付かされただけですし…… 「…まぁ……成り行きで……それよりっ!弟に女装させて、何調べてたんですかっ!?」 「並の女より、綺麗な女装男子に気付かず、恋をする男がいるかどうか……その人数のリサーチをね……大体の男が見た目重視っていうのが分かったわ……特にうちの部署の男性達はね……世の中の男が全員そうだとは、言えないけど……だから、心が欲しい男の為に、女は綺麗になる努力が必要なのよね……そういうのを、ひと言コラムとして雑誌に掲載しようと思って!」 そう、にこやかに話す冬子さん。 自分の探究心の為に、実の弟をも、犠牲にする冬子さん…… 何でも有りですか…… そう思いながら、冬子さんと宴会が開かれる居酒屋へ向かう。 ほぼ全員が揃い、気の合う者同士で、席に着いている。 都築くんも、前田くんも……ここぞとばかりに、女性に囲まれてる。 私はいつも通りに、冬子さんの横に座る。 後来てないのは、夏ちゃんか…… 途端に…… 「すいません、遅くなりました!」 カジュアルジャケットに、ジーパン姿……さらさらの茶髪のイケメンが現れる。 雑談で盛り上がっていた一同が、その声の主を注目する。 薄化粧のはずだったけど、化粧を落とした彼は……女装してた時と全然違う雰囲気を醸し出している。 冬子さんが椅子から立ち上がり、彼の元へ行く。 「改めて紹介するわ、私の弟の佐伯 夏です。入社一日目の今日、女性の姿をしていた夏と、同一人物です。私が調べたいことの為に、女装してもらったの……文句がある人は、私が受け付けるわ」 男性達は、目も口も開けっ放しで呆けていて、本当の姿を目にした女性たちは、黄色い声を上げている。女装していた夏ちゃんの時は、敵を見るような目で見ていた癖に…… 「…えー、姉の指示とはいえ……騙すような事をして、すみませんでした」 頭を下げる夏ちゃんとは、対照的に、 「新入社員の余興だった…ってことでいいじゃない?」 悪びれもせずに、そう言い放つ冬子さん。 ふたりがこちらに来て、何故か佐伯姉弟に挟まれる私……
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