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夏くんは夏くんで、
『パイプは構わないけどっ、アレを俺が持って歩くのっ!?…凄く、恥ずかしいんだけど!何かの拍子に中身ぶちまけたら、俺ヤバい人じゃない!?』
これまた意味が分からなかった。
「厳重に包装しとけば大丈夫よ!」
佐伯さんがその一言で、夏くんを黙らせた。
帰り道で、遅めの昼食を取り、先程の会話について聴くが、帰ってから話すという悠香の言葉に頷き、今はマンションの近くのスーパーで、ふたりで買い物をしている。
「環生は好き嫌いある?」
「前はあったよ…でも、徹夜お母さんが厳しくてね…何でも食べさせられたおかげで、特に今はないかな」
「ふふ…徹夜お母さんね…確かに厳しそう」
俺のチャラけた言葉に、悠香が笑ってくれる。
普段の生活の中で、こんなふうに…悠香が笑ってくれたら、嬉しい。
この笑顔が、本当に…好きなんだ。
「悠香…家のこととかさ…全部ひとりでしようって思わないでね?俺もある程度のことは出来るから、何でも…共同作業にしよう?ひとつのことをふたりでする…その時間も大切にしよう…一緒に、居るんだから…ね?」
何気ない日常も、悠香と共に居られるなら俺は幸せだけど……どんな瞬間も、ふたりで分かち合う。
そんなふうに、過ごしたい。
「…うん…そうだね!」
一通りスーパーを巡り、必要な物を買い揃え、マンションに帰宅する。
買ってきた物を冷蔵庫にしまい、家着のジャージに着替えた悠香を、俺の脚の間に座らせ、後ろから抱きしめる。
「…ふー…落ち着く」
「私は…落ち着かない…です」
うん…悠香の全身に力が入ってるのが分かるよ。
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