2249人が本棚に入れています
本棚に追加
/466ページ
「まさか…環生が会社に来るなんて思わなかった」
俺も思わなかった。
悠香を送り出し、部屋にひとりになったら、途端に不安になった。俺が切に望み、叶えられずにいた願いが見せた…幻だったんじゃないかって……
でも、チェストに入れた婚姻届や、悠香の荷物を見て、嘘でも幻でもないんだと安心した。
悠香の荷物を整理している時に、夏くんから連絡が来た。
『突然すみません…悠香さんの退職の話が社内に広まってしまって、悠香さん…ずーっと告白ラッシュで身動き取れない状態です…どうしますか?』
…告白ラッシュ?
それって、悠香に想いを寄せてる男からの…
『今すぐそっちに行くよっ!』
それから直ぐに佐伯さんに連絡して、タクシー呼んで…
俺の行動、早かったな。
悠香の気持ちが揺らぐなんて、そんな考えにはならなかったけど、何ていうか…多分…独占欲が俺を駆り立てたんだと思う。
悠香は俺のだって、宣言…したくなったんだろうな。
俺の腕の中に、こうやってずっと、閉じ込めておきたい。
悠香の首筋に顔を埋め、そこにキスを落とす。
「…んッ…」
ピクッと跳ねた悠香の肩。
その反応と漏れた声に、朝制御した自身もまた、反応する。
徹夜の忠告通りになりそうだ。
「好きだよ、悠香」
俺に顔を向け、
「私も環生が好き」
常に俺の心にある悠香への想い。
伝えられるだけ、伝えたい。
最初のコメントを投稿しよう!