lesson3ー4 全てを掛けて

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「そう言えば、佐伯さんが言ってた次の仕事って?」 悠香を抱きしめたまま問う。 「バースト部専属のライターになれって…」 「ライターか」 編集からは離れるが、本を作る仕事には携われる。 …ん? そこで、佐伯さんに言われたことを思い出す。 「俺にも協力して欲しいって言ってたよな?具体的に何すればいいの?」 ピタッと静止した悠香。 「悠香?」 「…うん…あの、えっと…評価…かな?」 『評価…かな?』って、何で疑問形? 「何を評価すればいいの?」 悠香の身体を俺に引き寄せ、悠香の顔を覗き込む。 俺と目があった悠香の顔が、赤い。 何て顔してるの…… めちゃくちゃ…可愛いんだけど。 「…セ…セクシー…ランジェリーについて…記事を書かなきゃ…いけなくて……それで…」 口篭る悠香の、言いたいことを理解する。 「悠香がその姿を俺に見せてくれる…それを俺が評価する…そういうこと?」 小さく頷く悠香。 それは…… なんて、オイシイ役回りなんだっ! 「是非、協力するよ!すっごい楽しみになってきた」 「楽しみって……」 「…ただ…評価だけで済まないと思うけどね?」 好きな女のエロい下着姿を見て、欲情を表さない男なんて…まず居ないだろう。 「それにしても…佐伯さんの作る本は、内容が凄いね…その専属ライターなら、下着だけでは済まなさそうだ」 つい思ったことを口にすると、悠香の表情が一変した。 「そうなの…何やらされるか、凄く不安なの…考えたくないけど、そのうち記事にしたいものリストとか、考えて来そう…」 俺よりずっと、佐伯さんの人柄を知る悠香。 その不安が、後に見事に的中するとは、思わなかった。 でも…… 「佐伯さんは悠香のこと、とても大切に思ってくれてるよ!悠香が本当に困るようなことは、させないと思うな」 俺が今こうして、自分の腕に悠香を抱きしめていられるのは、俺達ふたりを取り巻く人達が、支え、導いてくれたからだ。 感謝…しないとな…
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