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「それでは、パースト部始動と、新入社員入社を祝して、乾杯!」
グラスを掲げ、挨拶した冬子さんを合図に、宴会が開始される。
2日続けて外で呑んでるな……家帰ってからも呑むけど……
冬子さんとふたりなら、1杯目は既に呑み終わってるとこだけれど、これだけの会社の人間がいる前で……素は出せない。
……会社の呑み会なんて、肩こるな……
呆けていた男性陣は、まんまと騙されたと、最終的には笑い、夏ちゃんを受け入れたけれど……
前田くんだけは、話し掛けてくる女性の話も耳に届かないほど、ショックが大きかったらしい。
未だに呆けている。
可哀想に……
目の端で前田くんを盗み見ていた私に、受け皿に料理を盛ってくれた夏ちゃんが、
「どうぞ、悠香さん」
私にその受け皿を渡してくれる。
「ありがとう、夏ちゃん」
「…あ……出来れば、その……『夏ちゃん』は勘弁して下さい」
……確かに、今の彼に『夏ちゃん』は、合わないか……
「…じゃあ、夏くん?」
私の呼び掛けに、笑顔を向けてくれる夏ちゃん……もとい、夏くん。
「それで、お願いします」
そんな、嬉しそうに……眩しい笑顔を向けないで……
「そういえば、悠香…」
冬子さんの呼び掛けに、振り向く。
「明日……まっすぐTAMAKI先生のとこ行って、挨拶して来て……出社はその後で」
そうだった……
夏くんのことで、すっかり頭から抜けていたけど……
官脳小説家の担当になったんだった……
明日が初顔合わせ……
「…何時くらいに、お伺いすればいいですか?」
「10時位でいいんじゃない?」
アバウトですね……冬子さん……
「…何か手土産必要ですか?」
「必要ないわ……(悠香自身が手土産みたいなもんだし……)」
「そうですか……」
……ああ…いかにも、エロ親父みたいな男とかだったら、どうしようっ!
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