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「本当?」
俺の真意を確かめる様に、俺の目を真っ直ぐ見つめる悠香の目が、不安げに揺れる。
「本当だよ」
どうして…そんな目をするの?
「…私…環生への気持ちに気付いてから、後悔を残さない様にって行動してるけど…その度に、環生を苦しめてるでしょう?私の為に、環生の本心を捻じ曲げてるんじゃないかって…だから…」
悠香の考えを聴いて、第一声は必ず反対してしまう俺。
でもそれは、俺の存在がなくなってしまった後の未来が、分からないからだ。
悠香の未来に俺が居ないのに、悠香が辛い時や悲しみを抱いている時に、傍に居れずに助けてあげられない。
守ってあげられない俺が、共にある今…悠香の負担になる原因や種を、蒔いてはいけないと思った。
でも……悠香の想いが嬉しかったのは、本当だ。
嬉しいのに、素直にその喜びを受け入れられないことが、そんな自分が悲しいと……
自分に課せられた運命を、悲しく思う。
「子供が居たら…悠香の今後の足枷になると思ったんだ…悠香はずっと俺を好きで居てくれると言ってくれた…凄く、嬉しいよ…でもね、やっぱり誰かを好きになる未来が、悠香にないとは言い切れない…熱烈にアプローチされて、絆されて…それが恋に変わるかもしれない…前に言ったけど、悠香の傍に居ない俺に、義理立てしないで欲しい…俺じゃない誰かを愛して、その相手が悠香を大切にしてくれるなら、迷わず進んで欲しいんだ…その時に子供が居たら…悠香は躊躇してしまうと、足枷や重荷で幸せになれる機会を、自分から手放すんじゃないかって……そう思ったから、最初は反対したんだ」
だけど、俺のその心配よりも、悠香の考えはもっと上にあった。
重荷や足枷にしかならないと思ったのに、強さに変えられる存在だと、悠香にとっての生きる意味になるのだと言われたら……反対なんてもう、出来ない。
それに……俺の心配等、飛び越えて悠香まっしぐらの彼が居てくれる。
だから俺は、俺にある時間の全てで、悠香が望むことを叶えられることは、叶えてあげたい。
それが…悠香と共に居られる俺の、俺の生きる意味だ。
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