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「俺が望むのはひとつだけ。どんな時も、悠香が幸せであって欲しい…俺の子供が悠香の生きる意味になるなら、そう…悠香が思ってくれるなら…反対なんて出来ないよ…それに、結婚したらやっぱり、子供が欲しいと俺も思う。悠香の為に、考えを曲げてる訳じゃない。俺が躊躇してしまう理由は、どうしても病気のことがあるから…」
宮本先生は、普通のことを望んでいいと言ってくれた。
病気を理由に諦めなくていいと……
だからもう……
迷うのはやめよう。
強い心で居ないと、立ち向かえない。
悠香を大切に思い、悠香の幸せを誰よりも願う人を……
俺は悲しませるのだから。
悠香との心の絆と、お互いの愛情を糧にして、向かい合うんだ。
理解して認めてもらわなければ、悠香と結婚出来ない。
悠香にも…辛い思い、させてしまうな。
左手で悠香の右手を握り、指を絡め合う。
右手で悠香の頬を包み、悠香を見つめる。
「病気を理由にするのは、もう止めるよ。俺は、もう何も諦めない」
悠香を…諦めない。
どんなに反対されたとしても……
俺が病気でなければ、すんなり進んだかもしれない。
簡単じゃないことは、結婚を決意した時から分かってる。
ここをクリアしなきゃ、きちんとした手順を踏まなきゃ……きっと…俺は後悔するから。
後悔や未練を一切持たずして、逝くことはないかもしれないけど、悠香の大切な人との絆を切ってしまうことだけは、絶対にしたくないんだ。
俺が悠香を手に入れる為に、悠香と共にある為に、今が正念場だろう。
「環生がそう言ってくれて、凄く嬉しい!」
悠香の笑顔が俺に向けられる度に、何度も喜びを感じる。
この笑顔がずっと、俺の欲しかったもの。
ずっと…ずっと望んでた。
だから…俺の手で守るんだ。
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