lesson3ー4 全てを掛けて

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私が何かを望むと、環生に自分の病と、残りの時間のことを考えさせてしまう。 考えたくないことを、考えさせて…苦しめてしまう。 それが分かっていても…どうしても、口に出さずにいることは出来なかった。 他の誰でもない…環生との子供を…環生にも、望んで欲しかった。 我儘ばかりで、ごめんね…… 恋人である期間を飛び越えて、結婚を迫り、入籍前に子供が欲しいなんて…… この私が望んで口にするなんて、自分でも思わなかった。 環生の担当医の宮本先生から、環生の病名を聴き、他の臓器にも転移していて、手術でどうにかなるものじゃないと…… だけど、打つ手が何ひとつない訳じゃなかった。 望まぬ日が、少しでもいい。 延ばせることが出来るかもしれない。 そうして余命を延ばした人がいたと、宮本先生は言っていた。 『病気を理由に、もう何も諦めない』 そう言ってくれた環生の言葉が、何より嬉しかった。 出来ることは何だってする。 環生と、一緒に居るために…… 「そうだ…連絡ついた?」 環生の問いに頷く。 環生が何を言っているか、分かる。 「今日は仕事でいつもより遅いけど、それでも良ければって…20時くらいに行く事にしたから、夕飯食べてから出掛けよう?」 昨日の夜に父に連絡をした。 父とのやり取りを、思い出す。
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