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『いやぁ~…俺も来年にはおじいちゃんかぁ!』
その一言で、何を勘違いしたか理解する。
『ち、違うからっ!まだ…まだそうじゃないからっ!』
『えー…違うのかい?残念だな…それじゃあ、どうして急ぐんだい?』
分かり易い程の、落胆が見えるようだ。
『その理由も…会って話したいの…明日、時間とってくれる?』
『分かったよ…明日は少し遅くなるから、そうだな…20時位においで』
私の気持ちを優先してくれた父。
何かがあると、きっと思ったに違いないが、了承してくれた。
『ありがとう!じゃ、明日ね…おやすみなさい』
『ああ、明日を楽しみにしてるよ、お休み』
父との電話を切る。
『ふーーー』
深く息を吐き出し、緊張を解く。
楽しみか……
私を、男の手一つで育ててくれたお父さん。
手放しで…賛成しては、くれないよね?
それでも私…
環生と結婚したい。
お母さんと離婚して、もう20年以上の年月が過ぎた。
それでも今も尚、お父さんはお母さんを想ってるのを、私は知ってるから……
ただひとりの人だけを、想い続ける心を…お父さんなら理解してくれると、信じたい。
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