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「…いつ?……いつあいつが男だって気付いた?さっき……素のあいつを見ても、悠香さん驚いてなかった……ふたりで書庫室にいた時に、何かあった?」
その言葉に……忘れかけていた……夏くんが男性であると知った時のことを……思い出してしまう。
夏くんの……言葉と……服越しに感じた……夏くんの『アレ』の感触……
「……な…何も……」
都築くんの、腕の中に閉じ込められているのに……夏くんのことを考えて…顔が紅潮してしまう。
「…ちっ!……クソっ!」
そんな私の様子に、苛立ちを隠さない都築くんが……私の両腕を頭の上に持ち上げ……片手で押さえ付ける。
「…なっ!……やめてよっ!……悪ふざけも、大概にしてっ!」
こんな……力で捩じ伏せられるのは、嫌だっ!
「そっちこそっ!俺を目の前にして、他の男のことを考えて……そんな顔見せるなよ……悪ふざけ?……ふざけてなんかいねぇよっ!何で俺がこんなことしてるかっ……分かんねぇのかよっ!?」
分かる訳がない……
力で押さえ付けられて、苛立ちをぶつけられたって……
そんなの……分かる訳ないじゃない……
……目の奥がツンとして……じわっと…目に涙が浮かんでくる……
こんなところで……この男の前でなんか……泣きたくないっ!
涙なんか……見せたくないのに……流すまいとすればする程……涙が溢れて…頬を伝い落ちていく……
「……ごめん……泣かしたい訳じゃないんだ……」
謝るくらいなら、腕の拘束を解いてよっ!
都築くんが空いた右手で、私の涙を拭う。
押さえ付ける片方の強い手とは、対照的な程……優しい手付きで……
「……悠香さんは……俺のこと……他の女とセックスしてるの目撃して、初めて……顔と名前が一致したのかもしれないけど……俺は……その前から、悠香さんのこと知ってた……めちゃくちゃ綺麗で、物腰柔らかいのに、並みの男より仕事出来て……数多の男を振り続ける女……最初はね……可愛げない女だと思って見てた……」
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