lesson 1

4/50
前へ
/466ページ
次へ
デスクの私物を、手頃なダンボールに詰め、新しい部署へ向かう。 「重そうですね…持ちますよ」 そう声を掛けてきたのは、社内一のモテ男…… 都築 真吾……私より4歳下で、確かファッション誌に携わっていたはず…… ……私はこの男が…大の苦手だ……男は大抵苦手だが……その中でも苦手なタイプ…… ワースト1と言っても過言じゃないくらい…… 「結構よ」 そんな相手に限って、必要以上に絡んで来る。 「遠慮しないで下さいよ……悠香さんの細腕に、そんなダンボール似合いませんし、行くとこ一緒ですから」 遠慮じゃないっ! 構われたくないのよ……あれ……? 「…行くとこ一緒って?……もしかして……」 嫌な予感しか抱けない私の手から、ダンボールを奪う都築くん。 「僕も、明日付けで部署異動なんですよ!嬉しいです…これから毎日悠香さんと会えるの……今まで会えても、廊下とか社員食堂でしか会えなくて……ゆっくり話すことも出来なかったから」 爽やかスマイルを、廊下にいる女性社員に無駄に振り撒く都築 真吾と、裏腹な私の心境等…… 誰にも分かるまい…… 冗談じゃないわよっ……! ただでさえ、突然の異動で頭痛いのに…… よりにもよって……この男と同じだなんて…… 表面上……物腰が柔らかくて……スマート……女性に対してフェミニスト……外見もイケメンで……ほっといても女性から寄ってくる…… でも……この男は……鬼畜だ……
/466ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2246人が本棚に入れています
本棚に追加