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デスクの私物を、手頃なダンボールに詰め、新しい部署へ向かう。
「重そうですね…持ちますよ」
そう声を掛けてきたのは、社内一のモテ男……
都築 真吾……私より4歳下で、確かファッション誌に携わっていたはず……
……私はこの男が…大の苦手だ……男は大抵苦手だが……その中でも苦手なタイプ……
ワースト1と言っても過言じゃないくらい……
「結構よ」
そんな相手に限って、必要以上に絡んで来る。
「遠慮しないで下さいよ……悠香さんの細腕に、そんなダンボール似合いませんし、行くとこ一緒ですから」
遠慮じゃないっ!
構われたくないのよ……あれ……?
「…行くとこ一緒って?……もしかして……」
嫌な予感しか抱けない私の手から、ダンボールを奪う都築くん。
「僕も、明日付けで部署異動なんですよ!嬉しいです…これから毎日悠香さんと会えるの……今まで会えても、廊下とか社員食堂でしか会えなくて……ゆっくり話すことも出来なかったから」
爽やかスマイルを、廊下にいる女性社員に無駄に振り撒く都築 真吾と、裏腹な私の心境等……
誰にも分かるまい……
冗談じゃないわよっ……!
ただでさえ、突然の異動で頭痛いのに……
よりにもよって……この男と同じだなんて……
表面上……物腰が柔らかくて……スマート……女性に対してフェミニスト……外見もイケメンで……ほっといても女性から寄ってくる……
でも……この男は……鬼畜だ……
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