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「あのへんは、あまりロボットいないからな」
「これから行くところもそうなのかしら」
「いいや。あそこは特区になってるから、ロボはたくさんいるぞ」
「特区?」
「人間と、ロボットが共に暮らす町だ。よその町よか、過ごしやすいかもな。ロボット向けの店も多いし」
満タンになった私は、ギターを背負い、おなかをさすった。
おじさんが私を見る。ジロジロと、頭からつま先まで。
「そうだな……。寄り道するか」
にへっと笑ったおじさんは、私を再び荷台に乗せ、トラックを走らせた。
荷台の戸が叩かれる。降りると、洋服店に案内された。
おじさんは店員に、
「こいつに似合うやつ一式、みつくろってくれや」
と言い、私に服から小物まで買い与えた。
「さあ、もうすこしだ。乗りな」
と言って、私を助手席へうながす。
「いいのかしら」
はじめての洋服に戸惑う。すそが挟まれないよう、用心深くドアを閉めた。トラックが走りだす。
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