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トラックがトンネルへはいった。明かりがひゅんひゅん飛んでいく。
「誰かに体をいじられて、回路を組み替えられたとする。アップデートとかで、あることだな。正しい方法で組まれたら、なにも問題はない。おニューな俺の、できあがりだ」
「正しくない方法だったら?」
トンネルを抜けた。
「警察に捕まるか、警備員に撃ち倒される。未登録の個体は、違法に改造されてるのが多いからな。廃棄の対象になりやすい」
私はミラーで揺れるお守りをみつめた。
「知らないで、よくこれたな。運がいいぜ、お嬢ちゃん」
おじさんは、ガハハと笑って、窓の外を見た。
「海だ」
きらきらと輝く水面に、漁船が浮いている。
「見て! ロボットの漁師がいるわ!」
いつのまにか、トラックは線路と並走していた。水色の列車が私たちに並ぶ。ともに東を目指し走る。
海を見て、列車を見て、私は胸が高鳴っていた。町が近い。
おじさんがカーステレオの音量をあげた。ヘヴィメタルがシャウトする。
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