1人が本棚に入れています
本棚に追加
赤いタワーのふもとに、観光案内所があった。受付でロボットがほほえんでいる。
「町の中心へ行くには、どうしたらいいかしら」
「バスがでていますので、ご利用ください」
バス。私ひとりでも、乗れるかしら。
示された待合でバスを待つ。外国人の姿が目立つ。港にクルーズ船が停泊していたから、その客だろう。私に好奇の視線が注がれる。勝手にカメラを向ける者までいる。
我が国の技術力の高さを見よ。とばかりに、私は赤いタワーを見上げた。
屋根のないバスがやってくる。開放感あふれる2階に陣取り、町の中心へ向かった。
広い歩道にはちりひとつなかった。道行く人やロボットも、どことなく洗練されている。軍手をしたロボットが、花壇の手入れをしていた。
おじさんの言葉が正しいなら、あまりウロウロしていられないのかもしれない。暗くなるまでに、歌える場所をみつけておこう。
群衆をかくれみのにし、町の構造を把握することにした。
最初のコメントを投稿しよう!