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(……それはちょっと烏滸がましいか)
麻緋がゆずみくのファンをやっているのは、『可愛くて大好きだから』だけではない。
子どもっぽい表現をしよう。
ゆずみくはすごいのだ。
歌もダンスもトークも、回を追うごとにうまくなる。
前回のライブより今回のライブ。『今回が一番楽しかった!』と毎回言えるアイドルなのである。
彼女は、確実に進化している。そして努力をしている。おそらく麻緋の想像を絶するほどに。
けれどそれを、これ見よがしにしたりしない。
そんな彼女が大好きだった。
常に真摯に物事に向き合うゆずみくの勇姿は、麻緋の理想だった。麻緋が想像する、『こう在りたい』のお手本だった。
自分より十歳も年下の女の子に、麻緋は、本気の尊敬と憧憬を抱いているのである。
……もしも今、『私の尊敬する偉人』というテーマで作文を出されたら。
(私はゆずみくを挙げるぞ、絶対にだーー!!)
思いっきり心の中で叫んで、麻緋はひた走った。
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