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一瞬、写真の辺りの空気がゆらっと揺れ、そこにいくつもの言葉が浮かび上がった。
それは私にだけ見える、真実の文字。言葉。
さながら、たくさんの文字や数字が、宙にぶら下がっているように見えるので、私は"それ"を言葉の札ーーー言札(ことふだ)と呼んでいる。
「張本しおり…女性…27歳…日本国籍…神奈川…15時12分……………」
私が言札を読み上げると、昭一さんは、それを全部手帳に書き留めていた。
ぽつぽつと浮かび上がる言葉、時に数字や、外国語、記号などが見える時もある。
私が知りたいと思った情報は、こうやって手に入るのだ。
「198693………空腹……何とかビル…
…………あぁ、ちょっとストップ。目がチカチカする!」
右手で目を覆うと、彼が大声で言った。
「生きてるのか!!………何とかビルって何だ?この数字は?」
「わかんないぃぃ…漢字難しくて読めなかった…」
「そうか。よし、一旦休憩だ。」
そう言って昭一さんは手帳にまた何か書き足した。
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