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小さい頃からずっと、言札が見えた。 もしかしたら、産まれた頃からかもしれない。 なぜなら死んだ母も祖母も、同じだったから。 知りたいと少しでも思えば、言札が教えてくれた。 そのおかげで、周りから煽てられ、期待され、羨ましがられたりしたが、私はそれらを遠ざけた。 素晴らしい能力、とよく言われたが、私にはそうは思えない。 四六時中、私の周りには言札が漂い、時に映画の結末を知らせ、飼い犬の寿命を知らせ、人々が私に対して不気味に感じていると教えた。 今日の午後の天気や、ネッシーの真実、選挙で選ばれるのは……なんて、言ったところで信じる人はあまりいない。 きっとヤバい人だって思われる。 私にとって、知る事は何も面白くない。 知りたくない。 知りたくないのに、無意識な好奇心がまた言札を呼び寄せ、目の前の男が昨晩奥さんとどんな夜を過ごしたかを、残酷に教えてしまうのだ。 この力は母からの遺伝、母は祖母からの遺伝。 でも、ごめん、2人とも。 私はきっとこの力をつなげられない。 だって結婚したいと思う男は、奥さんとめっちゃ仲良くて、可愛い息子もいるんだ。 よくよく見たら普通のおっさんなのに、大好きで仕方ない。 母も祖母も短命だった。 きっと私もそう。
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