0人が本棚に入れています
本棚に追加
「ちはるちゃん!!おい!大丈夫か!?」
…あれ?
昭一さんが私を抱き上げて、叫んでいる。
周りは悲鳴の海になっているようだ。
「なんでこんな……しっかりしろ!!ちはるちゃん!!」
昭一さん、と言おうとしたが、声が出なかった。
…痛い…。
背中がすごく痛い…。
…そうか…。
どうやら私は、間に合ったみたいだ。
泣きそうになって叫んでいる昭一さんを見上げて、涙がこぼれた。
…あぁ伝えなきゃ…今……伝えたい…!!!
なのに……声が出ない……!!
「ちはるちゃん、大丈夫だ!大丈夫だからな!」
昭一さんの腕が力強く私を抱きしめる。
ひゅーひゅーと空気の抜けるような音は、どうやら私の呼吸らしい。
昭一さんの目が宙をさまよい出した。
「…これは…なんだ…」
…あれ?
彼にも言札が視えている……?
最初のコメントを投稿しよう!