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大きなインターホンの音に呼び起こされた。 ぼーっとしながら、重い足で玄関へ向かう。 4月14日、金曜日、11時17分。 ドアの外にいるのは、広瀬昭一、41歳。刑事。 手には親子丼とカツ丼の入った袋をぶら下げている。 私は鍵だけ回し、すぐそばのキッチンの椅子に腰かけた。 玄関が開く。 「よぅ。ちはるちゃん。まだ寝てたのか?昼飯どうだ?」 「おはよー。しょーいちサン。親子丼がいい。」 「さすが、なんでもお見通し、だな。」 昭一さんは笑って、親子丼を私に寄越し、ソファにどかっと座った。 「まずは食べてから。」 昭一さんは必ずそう言う。 そうして、私達は黙って食べ始めた。
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