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涼香はしばらくの間あちらこちらを旅してから大唐国の辺境に向かうことに決めた。
問題は、そのために超えなくてはならない山があることだ。
「ただの山ならまだいいんだけど」
見上げる山には険しい峰。登るのも苦労しそうだが、問題は別にある。
この山の名前は両界山。あの孫悟空が封じ込められていた山なのである。
「おや、お坊様もあの山へお行きなさるので?」
山を見上げたまま悩んでいると、丁度通りかかった邑の男が声をかけてきた。
涼香は蓑笠を深くかぶり直しつつ頷いた。
「はい。・・・・・・誰か他にも山に行った者がいるのですか?」
「ええ、朝早くにもお坊様が。いやー、あの人はきっとえらいお坊様ですよ」
「ほう、何故です?」
涼香が興味をひかれて尋ねると、男は満面の笑みで詳しく話し出した。
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