忘れられない誕生日

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これはかなり赤裸々な告白だと当時ひどく衝撃的だったのを覚えている。 この本を手に取るのは当然彼らのファンであり、これを読むファンの気持ちを、あんなに素晴らしい楽曲を何百と世に送り出している彼が想像できないわけがない。 彼は信じたのだと私は思った。 この本はファンに向けての挑戦状でも毒舌本でもなく、ファンを大事に思う、だから正直に話そう。分かってくれる人、くれない人、両方いるだろうけれど、今の僕ならばそれを受け止められる。だから僕が考えていたことを聞いてもらおう――― そういう彼の真摯な思いを感じた。 別に言わなくてもいいこと、である。 自ら災いを呼ぶようなことしなくても、と誰もが思うだろう。 けど、彼は知ってほしかったんだと思った。自分が考えてたこと。そういう自分がいて今の自分に至っていること。 ファンのみんなを好きなこと。 軌跡。 自分を好いてくれているみんなに、ちゃんと知ってほしかったんだと思った。 僕だってこういう汚い一面もありますよ、と。 素直な人だと思った。 強い人だと思った。
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