歪んだ彼女の目覚め

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耳の横でチャプンッと音がした。 来るはずの痛みがいつまで経っても感じられず、一度身体の力を抜いて、どうしてかを考える。 そしてようやく、自分がまた抱きしめられているのだと気付いた。 「ユリさん...無茶しないでください。寿命が縮みます」 私が落ちようとした瞬間、あの男性が咄嗟に支えてくれたらしい。 声音や触れたところから響く心臓の音から、相当驚いたのだと分かり、申し訳なくなる。 「あ、一人で心細かったですか?すみません...一言言ってから取りにいくべきでした。水を持ってきたので、どうぞ」 先程の音はそれだったのか、と妙なところで納得する。 手に、少し冷たい陶器のようなものが触れた。どうやらコップを持たせてくれようとしているようだ。 お礼を言って、コップのふちに口を付ける。そういえば、相手の正体も分からないまま馬鹿正直に渡されたものを口に含むのは危険ではないだろうか、と思ったが良く冷えた水は本当においしくて、どうでも良くなった。
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