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カラスが食事を終わらせ飛び立ったのを見送ったのはもう薄暗くなった頃だった。
「さすがに、そろそろ帰ったほうがいいですね」
苦笑しながらそう声をかけると、少女の顔が固まってしまった。
体が怯えたように少し震えている。
「うん、そうだね...。帰らなきゃ」
立ち上がって帰ろうとしているが、その動作もどこかぎこちない。
じゃあ、と手を降り公園から出ようとする少女の腕を、僕はいつの間にか掴んでいた。
「あの、明日また会いませんか?それで、あなたの話を聞かせてください」
見当違いな間抜けな言葉だったかもしれない。
それでも、少女はうなずいた。その日一番の笑顔で、嬉しくてしょうがないという風に。
いつの間にか僕はこの少女に惹かれていた。
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