歪んだ少女の確信

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変な人に出会った。 いつもどおりボンヤリしていて、そんなときに声をかけられた。 笑いかけてきて、私の話を聞いてくれて、楽しかった。 本当に、本当に、本当に、楽しかった。 だから、大切な人になった。一緒にいて、心が安らいだ。けれど、それは家族への裏切りのような気がして、話すことが出来なかった。秘密にしていた。 なのに、なぜか知られてしまった。あいつは誰だと言われて、ぞくりとした。 もう一年も過ごせたのかと、ふっと思い出した。 早く伝えないといけないと思った。逃げるように、と。何をされるか分からないから。 閉じ込められて、何年かぶりに泣いた。上手く声が出せなくて、すすり泣いた。 惨めったらしく、自分の存在を呪った。こんな生き物、誰も愛さなくて当たり前だ。 その当たり前に早く気付けばよかったと後悔して、また泣いた。
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