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俺の言葉に彼女はゲロまみれの満面に笑みを浮かべ、何度も大きくうなずく。そのたびに、ゲロが飛散し、部屋中にべっとりと貼りついた。
「ハッピーバースデートゥユー♪」
壊れたレコードのように同じ台詞を繰り返し、にゅちょにゅちょと拍手する彼女。ゲロがまとまって落ちては、あたりかまわず四散する。
いつしか俺は泣きじゃくっていた。熱い涙が頬を伝い、嗚咽が漏れる。こんなゲロまみれの美少女に祝われ、なんと俺は喜んでいるのだ。
「だけど、きみはいったい?」
俺の問いに、けれど、答えたのは、別の声であった。
「そんなときは、この怪傑ジャッジちゃんにお任せよ!!」
メキメキメキキキキィ!! いきなり天井をぶち破り、変な女の子が落っこちてきた。勢いあまって頭から床にめりこみ、スカートがめくれる。
「だ、たじげて!」
くぐもった声にわれに返り、もがく彼女の足をつかみ、引っ張った。案外軽く刺さっていたのかあっさり抜ける。もう少しイチゴ柄のパンツを間近で拝みたかったが、それよりも、だ。俺は雲のない夜空に視線を動かした。
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