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「・・・・・・・おまえ、カッコよすぎ」
「惚れなおした?」
「いや俺の見せ場なくなるからカンベンして。・・・・あのな。俺のカップはおまえの球にぶっ壊されて、はじめからだだ漏れだったぞ」
高2の春先。バレーの授業で、ズバンと相手のコートに球を打ち込んだ背の高い女は、コワイほどのきつい目つきから、仲間を振り向いた瞬間わあっと嬉しそうに笑顔を弾けさせるまで、ナツの視線を釘付けにした。
バレー部のエースは、ぴんと背筋が伸びてて、めちゃくちゃカッコよかった。
「まわりくどーい。愛してるって言ってよ」
「やだ無理。俺のノミの心臓なめんなよ」
「愛してる」
「・・・・・・か、かんべんして」
「じゃあ、お祝いの言葉なら言える?」
恥ずかしがりのナツは、それでもちゃんとお祝いの言葉をくれた。
赤ちゃん嬉しい、誕生日おめでとう、と子供みたいな言い方がくすぐったくて、頭いいのに不器用だなぁとまた愛しく思った。
こっち、と連れていかれた寝室で、ナツの綺麗な指先と甘い唇が、熱のこもった愛を私の髪から首筋、胸の谷間へと印していく。
翌年。結婚から1年と少し経って。
ぱしゃん、とカップからあふれた水が、赤く広がって、オアア、オアアと元気な産声をあげた。
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