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シャンゼリゼ・ストリート
高梨涼子がコクーンシティーにある弁護士事務所に出入りしていることが明らかになった。
尾行班から土方のもとに連絡が来た。
弁護士か、マクシミリアンも政治家になる以前は弁護士をしていた。
貴族を名乗っていたが、実は第3身分だった。
今でゆー非正規労働者やニートと同じだ。
1700年代は売官制といって身分を金で買うことが出来た。
聖職者、貴族、第3身分の3つにランクづけされていたのだ。
いいなぁ~金を溜めて総理大臣になりたいな?
誰もが笑ってくらせるような社会にしたい。
高橋(王戮)に目立った動きは見られない。
バンドウエリアも今のところは無事だ。
シャンゼリゼ通りの並木道をスキップする。
マロニエが芽吹き、5月の爽やかな風が吹く。
シャルル・ド・ゴールド広場に聳え立つ凱旋門に心を奪われた。
マクシミリアンはパ・ド=カレー県ってところで生まれた。幼い頃に母親を失い、父親が失踪して天涯孤独になってしまう。
土方も両親をある事故によって亡くしている。
凱旋門の屋上にある展望台に昇ってみた。
螺旋階段をクルクルと昇ってゆく。
「お~シャンゼリゼ~」
日本人と思われる老婆が鼻唄している。
彼女の名前は西洞院キク。
ニシノトウインは京都の通りの名前だ。
新撰組の見廻りルートだった。
そういえばボンレスの本名は今出川遥香だったが、今出川も京都にある通りの名前だ。
「あら?日本からいらしたのかしら?」
「えっ、ええ」
「パリマラソンはすごかったわよ?ものすごい数だったわ~7月にはツール・ド・フランスがあるわ」
「パリマラソンがあるのは確か4月でしたね?」
老婆はどことなく野際陽子に似ていた。
「そうよ?あなた、どことなく堺雅人さんに似てますね~?私はよく煮物を煮ます」
面白いババァだ。
「キイハンターに出てました?」
大昔に流行った刑事ドラマだ。
「よく言われます、写真でも撮ってさしあげましょうか?」
西洞院キクがルィ・ヴィトンのバッグからチェキを取り出した。懐かしい!その場で現像できるヤツだ。だが、写真はマズイ!
キクが諜報員でないって確証はない。
「写真ですか…………」
「私みたいなお婆ちゃんじゃ嫌かしら?」
「いえ、そんなことは…………」
大丈夫かな?
土方はニッコリと微笑んだ。
カシャリッ、シャッターが炊かれた。
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