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きっと今のあなたなら、脚の腱を切ってしまおうといっても、受け入れてくれるに違いない。
それはとても素敵な考えに思えるので、あなたを心ゆくまで味わってから、検討することにしよう。
「お好きなのは、ここをわたしに触られることだけですか?」
「ちが…ああ、やめないで……すき、冴弦がすき……きもちいの、きもちい……ああ…あ、ん…とける…」
「もう、溶けておられますよ。すっかりぐずぐずだ……」
熱い塊の根元だけをなぞり、そのまま指を滑らせると、あなたの身体が期待に震える。
思いついた楽しい考えも、あなたの痴態に霧散する。
今はただ、必死に私を求めるあなたを、可愛がりたい。
やっと独り占めできるようになったあなたを啼かせて、ともに明日の朝を迎えましょう。
魑魅魍魎の住処からしばらくの暇を。
すぐに鬼が戻ることになるのだろうけれど。
もしも見ることができるのなら、その鬼はわたしの顔をしているに違いない。
<end>
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