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「何事ですか?! 兄上?!」
見つけたのはわたしで、駆け込んできたのは四の兄上。
わたしたちが大きな声をあげたから、ことが公になってしまった。
四の兄上が中心になって調べを進め、一の兄上を跡目から追い落とすために東の母上が仕組んだに違いないと、結論付けた。
けれど肝心の三の兄上は死んでしまっていたので、本当のところはわからない。
ただ。
わたしの周りは少しばかり様子が変わった。
一の兄上は少しばかり壊れてしまわれた。
そして、四の兄上も。
「兄上は少しお疲れが出たようだ。北の宮の離れに、兄上の為の部屋を用意しようと思う」
「四の兄上、お見舞いに伺ってもよいですか?」
「医師に聞いておく」
「四の兄上……」
「勝手に行くのではないぞ。お前があってもよい時には、そう教えてやる」
皆が皆、少しずつ、ずれていった。
少しのずれは大きなヒビとなる。
わたしは何をなすこともなく、ただ、時間を重ねて変わりゆくきょうだいを見ていた。
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