あの頃

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トロリと上気した頬。 鎖骨あたりに散る、紅色の鬱血。 上着は片袖をひっかけた状態で、袴は寝台の下に投げ落とされていた。 以前きちんと結い上げられていた髪は、ゆるくまとめられているだけ。 ほつれて、髪紐はほどけかけている。 「四の? 混ぜて欲しかったの?」 「兄上」 「誰も来ないから、寂しかったんだもの……」 「兄上……」 「少し遊んでもらっていただけなのに」 「これが、少しですか?」 「寒かったんだ……彼は温かかったよ」 寒いよ半端になってしまったから来て。 一の兄上はそういって、四の兄上に手を伸ばす。 ぎし、と、寝台が音をたてた。 「…ふ、あ……あん……」 「こんなに濡れて柔らかくしておきながら、少しですか…」 四の兄上が寝台に乗り上げ、一の兄上の体をまさぐり始める。
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