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四の兄上の腰に、一の兄上の脚が巻き付く。
もっともっとと繰り返し、まだ足りないというように、腕をとり引き寄せる。
一の兄上の身体は寝台の上で、わたしからは四の兄上の背中しか見えないのに、わたしの息が苦しくなる。
「五の君さま、こちらへ」
立ち尽くすわたしを、侍従の一人が支えて部屋から連れ出した。
ぱたんと扉が閉められてしまえば、聞こえてくるのは一の兄上の声ではなく、すっかり猫の声だ。
「大丈夫ですか…?」
「…あ……ああ、大事ない」
「おいたわしい…まだお若い五の君さまに、こんな……四の君さまも何をお考えなのか…」
わたしは侍従に支えられて自分の部屋に戻る。
目の前で起こったことすべてを、わたしは知っていた。
知識はちゃんと持っているのだ。
刀で切り付ければ血が出ることも、血だまりができるほどに出血すれば死に至ることも。
男同士の交合いも、あの時に甘い声が出ることも。
知っているはずのことばかりなのに、わたしは受け止めきれずにいる。
ぐるぐると思い起こしては、咀嚼し直す行為は、外から見ると呆然自失したように見えたらしい。
同父母で男同士で交合うなど畜生の行為だ。
ましてや弟君に見せつけるなどと、と、声を潜めて侍従たちが口にする。
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